第3回 　(有)リード・クリエーション　福泉 礼二様　

店舗デザインから設計施工、また店舗運営のためのセミナーなど起業から経営のサポートなどを手がけられ、来年30周年を迎えられる有限会社リード・クリエーションの福泉社長にお話しを伺いました。
中学生から大学時代まで水泳を続けられ心身共に強くなられたそうで、その水泳で中学時代にはオリンピックの候補生に選ばれたこともあったそうです。現在の事業は体力勝負であって水泳で培った 体力が現在まで頑張ってこられたことに一翼を担っていることも否めないとお話し下さいました。

起業された動機を教えて頂けますか?

最初は漫画家になりたいと思っていました。その後、グラフィックの道を目指し、大学卒業後は広告代理店で営業をしていました。その途中でインテリア業界の人と出会い、今の業界（店舗デザイン設計、施工）へ入りました。下積み時代を経験し現在の土台が出来ました。起業のきっかけは今の業界に入って働いていた会社が倒産したことです。早く独立したいと考えていた事もあり34歳で独立しました。独立した当時の事を福泉様はこう語っています。

「手持ち30万だけ、お客様もない、仕事もない、まして事務所を借りる余裕などない、自宅アパートの6帖間からの心細いスタートでした。しかし、今振り返ってみると、人の縁にはめぐまれ少しずつですが、色んな人が仕事を回してくれたことで、売上げも伸びていきました。そのうちバブル景気の波にも乗り、仕事も入るようになりスタッフも4人、5人と増えていきました。事務所を構えて利益も出るようになり、5年目には会社組織にすることもできました。」

しかし、上手くいっていたはずの事業ですが、経営の知識が全くなかったために一緒に働く仲間が辞めていき経営自体に歪みが出てきました。共同経営していた友人と解散し、創業以来はじめて赤字を経験します。この時、自分に経営の知識がないことを痛感され、そこから本を読んだり勉強会に参加したり、自分にとっての経営の師匠に出会い、経営について勉強を始められたそうです。店舗のデザイン、設計、施工は資金的にもかなり大きな仕事です。そのため、お客様に様々な面で納得いただく必要があります。経営の勉強をしたことで仕事の仕組みも作りました。

売上のために仕事をしていた過去の方法を改め、「自分たちが自信をもってやれる。お客様に本当に喜ばれる仕事をやろう」と決めました。その後、口コミや紹介などでお客様が増えていき、会社として安定し現在の会社形態になったそうです。

一番辛かった出来事はなんですか?

友人との共同経営を解散させた時です。 初めての赤字を経験し、
精神的にもかなり落ち込んで経営者として初めて苦しい思いをしました。

それをどうやって乗りきりましたか?

一番苦しかった時代に経営の師匠に出会い、経営について勉強しました。セミナーに参加したり本を読んだりすることで、経営とはどういうものなのか、経営の心構え、効果的な手の打ち方、経営の厳しさを学びました。 経営について勉強することで会社がうまくいかない理由が少しづつ見えてきました。

経営の勉強を続けていく中で、仕事を紹介してくれるお客様や口コミなどが自然と増えてきて徐々に会社がいい方向へと動き出した様でした。
また、何の分野でもいいから一番になる事も経営の勉強から学びました。今では美容室の施工件数は新装・リフォーム共、福岡でもかなりの数に携わったと思います。

当時ではまだまだ珍しかったホームページが仕事につながることもありました。
更に人脈があったことも経営がうまくいった大きな理由でした。経営の師匠に出会ったことや、自分にとって必要な人と出会う事、お客様に仕事を紹介していただく事もあり、人の出会いの大切さを感じました。

悪い事や時には騙された事もありましたが、自分はお客様や周囲の人などいい人に恵まれています。そういう良い人を引き寄せる運がよかったのだと思います。 信頼できる人と付き合うことで次の出会いにつながります。自分も困っている人がいれば人を紹介しています。人の出会いはつくづく大切だと感じます。

銀行から一度も事業資金等を借りられたことがないそうですが…

一度もありません。バブル時代など、売上げがよかった時代に
貯蓄をしていました。無駄使いはしていないですね。

今後の目標をお聞かせ下さい。

昨年、会社を任せられる人材に巡り会うことが出来て、今まで続けてきた事業を近い将来に引き渡そうと思っています。

本業のほとんどは後継者に任せて、自分は今までやってきた事業のノウハウを同業者に伝えていければと思っています。「仕事がない、どうしよう」などと悩んでいる同業の経営者の方々へ、これまで培ってきたノウハウや弊社独自の方法などを伝えていければと思っています。また、独立開業を目指す起業家向けに本を書く事や商圏分析など、今までとは違う事に力を入れていきたいと思います。

今まではハード面の仕事だったので今後はソフト面の仕事を中心に進めていくつもりです。

ありがとうございました。
平成26年10月10日取材